今回の蝶はミドリシジミ、初夏に日本全土でよく見られるものだそうですが、今回標本を見てあらためてその翅の色の美しさに驚かされました。りんぷんの形状によって、見る角度によって色が変わるこういう色のことを「構造色」と呼ぶのだそうです。これを狙う小鳥の目には、一瞬毎にチカチカ点滅するサーチライトのように見えるのでしょうか。葉っぱにとまって翅を閉じた時の色は一転してものすごーく地味で、それに加えてこのチョウはとっておきの擬態の技を持っています。それに関してはカードをご覧ください。
構造色を印刷で少しでも再現するべく、今回は箔押しという印刷技法を使わせてもらいました。画面では見にくいでしょうが、チョウの翅の緑の部分は角度を変えるとキラキラ輝くメタリック箔になっています。本当はもう一息ホンモノに近づけられる印刷技法も見つけたのですが、そちらは予算と時間の都合であきらめました。小さくでありふれた蝶のくせしてお金も手間もかかっているものです。