坂啓典(さか・けいすけ)

ペーパーエンジニア/グラフィックデザイナー

 

富山県出身。東京都在住。

神戸大学文学部卒業後、桑沢デザイン研究所夜間部に進学。在学中よりデザイン事務所数社に勤める。

1994年独立。この頃よりポップアップや紙彫刻など、紙を使った工芸に興味を持ち始める。

1997年より3年間デンマークに在住。この間は仕事を離れてペーパークラフトに専念する。

2000年に帰国後、専門学校時代の友人と、代々木にデザイン事務所「図工室」を設立。

 

以降、ペーパークラフトとグラフィックデザインの二足のわらじで活動を続けています。

グラフックデザインの経験を生かし、キットや書籍全体のデザインまでトータルでお引き受けします。

制作のご依頼やご質問など、気軽にお問い合わせください。



「ペーパーエンジニア」って何だ?

 

PAPER ENGINEER(ペーパーエンジニア)、あまり聞き慣れない言葉だと思います。紙を扱う工芸・芸術には、折り紙に始まり、切り絵、紙彫刻、立体イラストレーション、デコパージュなど様々なものがありますが、その中でも、機械や人力による大量生産を前提として制作する分野を「ペーパーエンジニアリング」と呼びます。機械で打ち抜かれたパーツを組み合わせて数千〜数万のロットで製作される飛び出す絵本や、接着剤を一切使わず折り曲げるだけで商品の形にぴったりフィットする機能的なパッケージをイメージしてもらえると分かりやすいかと思います。僕は学生時代に海外の飛び出す絵本の奥付でこの言葉を知り、アーティストとも職人とも異なるその語感に惹かれました。

 

切り絵や紙彫刻などの一点物の制作とは異なり、ペーパーエンジニアリングには、作家的な技術とセンスもさることながら、加工過程に関する知識と配慮が要求されます。結果的に同じ形を作り上げるにしても、機械や人がいかに効率的に作業することができるか、いかに少ないパーツで同じ機能を得ることができるかを考えながらデザインを進める過程は、文字通り工学的でとても理詰めな作業です。自分自身のことに関してはそこそこ何でもありなのですが、こと仕事に関してはこうした面が僕には向いていたようです。

 

ペーパークラフト全般が本来の意味でのペーパーエンジニアリングと呼べるかどうかは微妙なところですが、キットを手にした方が説明図に沿ってパーツを組み立てる、特に内部にメカニズムを仕込んだからくりペーパークラフトに関しては、二重の意味で「エンジニアリング」と呼んで差し支えないと思います。知識と技術に裏づけられた「センス」を持つ制作者になれることを目標に、耳慣れないこの言葉をあえて肩書きに使っています。


グラフィックデザイナーとしての仕事

 

・JT生命誌研究館 季刊『生命誌』(2002〜)

・光村図書出版 中学国語課教科書(2004/2010/2014)小学国語課教科書(2013/2017)

・国際生物学オリンピック イヤーブック(2021)

など、堅めの内容を解きほぐして柔らかく表現するエディトリアルデザインを得意としています。僕を含めた「図工室」の3人のデザイナーは普段はそれぞれ個別に活動しており、得意分野も様々です。ご依頼の内容により担当を振り分け、時には2名あるいは3名で協力して作業を進めます。グラフィックデザインに関しても気軽にお問い合わせください。