POP-UP生命誌展示・その1 ゲノムが語る生命誌

今年度は、POP-UP生命誌展示と称して、大阪は高槻にある生命誌研究館のホールやギャラリーで展開されている展示のココロを表現します。本当は現物を見ていただくのが一番分かりやすいのですが、なかなか全国の皆さんに足を運んでもらうことはかないません。せめて展示の肝のとこだけでもお伝えしようというこの企画、最初は実際の展示物をポップアップにしようという、ある意味ストレートなものだったのですが、いざやり出すと「いやもうちょっと」「展示では我慢したここのところも盛り込んで」ってなってくるのが、BRHのスタッフの欲張りなところ。自分たちの仕事が増えるのが見え見えなのにもかかわらず、あーでもないこーでもないを繰り返して、結局こんな形の奇妙なポップアップに落ち着きました。

 

現在ゲノム解析が済んでいる生き物のうち代表的なものを、6つの生物界ごとに塩基対の数に従って並べました。塩基対の数ってのは、言い換えればゲノムの大きさ。高等な生き物ほどゲノムは大きいんじゃないの?って単純に思われがちですが、実はそんなことありません。例えばイネゲノムが4億塩基対なのに対し、同じ植物でもユリゲノムは何と900億塩基対。ユリの方がイネより高等なのかと思いきや、ヒトゲノムはたったの32億塩基対ですし、アメーバはあの小さな体になんと2900塩基対のゲノムを持っていたりします。アメーバとユリに支配されてる未来世界ってヤですよね。ゲノムの大きさと生物の進化上の位置についてはまだまだ分かっていないことが多いそうですが、おもしろいのが、我々動物は塩基対の大小の幅が比較的小さいこと。ゲノムをいじって何とか環境に対応しようという段階は過ぎて、頭、すなわち脳を使ってやりくりしていく段階に入っているのではないかと考えることもできるそうです。うーん、これはおもしろいなー。