生きものやじろべえ・その4 ヒレで読み解く発生と進化

1ミリ以上ある厚紙を切り抜いて試作するのは大変だったけど、作ってて自分でも楽しくて仕方なかった今年度のおまけも今号で最終回。今回は、ヒレの進化をやじろべえで辿ります。

 

現在よく見かける魚のシルエットを中央に、向かって右側は、お腹と背中にくっついている正中鰭(せいちゅうき)の進化、左側は体の左右につく対鰭(ついき)の進化の様子です。原始的な魚では、正中鰭も対 鰭も、尾びれを中心として体の前後左右をグルリと巡っていたのが、年代を追うごとに不要な部分が退化し、現在の姿に落ち着いたことが分かります。3億7千万年前に初めて上陸を果たした肺魚の胸びれや、その後陸棲に対応して進化した両生類、ひいては人間の手足は、 元はと言えばこの対鰭が進化したもので、正中鰭に当たる部分は捨て 去ってしまいました(地面にこすれて痛かったんでしょうかね)。ところが、例えば発生段階のニワトリの胚にあるタンパク質を働かせると、将来翼や足になる部分に加えて、背骨にそって肉の盛り上がりが観察されるそう です。数億年間も使われなかった能力が、今でも潜在的に残っているわけですね。こんな仕事をしていると、時々、猫の手も借りたいほど忙しい時があります。正中鰭がそのまま進化してたら、作業効率もアップしてたのかなぁとか思ったり・・・思わないか、洋服が大変だ。