パラパラめくる生命誌・その3

上陸のしかけ


今回は、プエルトルコに棲むカエル、コキーコヤスガエルの発生から、生物の「上陸のしかけ」を探ります。ご存知の通り、普通のカエルはオタマジャクシの状態で卵からかえり、足が出て手が出ておなじみのカエルの姿になりますが、このコキーコヤスガエルは卵の中でオタマジャクシ期を過ごし、大人のカエルの姿で卵からかえる、世界的にも珍しいカエルです。この方向がもうちょっと進むと、堅い殻に覆われた卵の中で成長し、親とほとんど変わらない姿で生まれる爬虫類の発生になりますから、まさに水中で産卵する両棲類から、陸上でも産卵できるようになった爬虫類の中間の姿と言えますね。

 

このカエルの研究者は日本にはいないそうで、アメリカの研究者が出した著作や論文の資料を参考に、かえりかけの卵がクルクル回転する様子は、東急ハンズで買ってきた発泡スチロールの球に紙粘土で作ったカエルを貼りつけたモデルを撮影して描きました。多少間違っていても国内には突っ込める人はいないからいいやとタカをくくっていたら、ご丁寧にもアメリカの研究者に確認をお願いするBRHのスタッフさん・・・それって薮蛇じゃ・・・。追加の資料を添えて、きっちり赤字を返してくれた、デュケイン大学のリチャード・エリソン教授の学者魂に感謝です。