卓上ゲノム展・第4回 エピゲノムから見る生命誌 変わらないゲノム・変わるエピゲノム


 

卓上ゲノム展の最終回は、受精卵から1人の人間が誕生し、そして次世代に向けて自身の生殖細胞を生み出すまでの物語を、エピゲノムという切り口からお伝えします。ゲノムという言葉は知っていても、エピゲノムは初耳という方も多いのではないかと。この言葉自体は古くからあるそうですが、エピゲノムの研究が盛んになったのは21世紀に入ってからとのことで、僕も最近になってようやく理解し始めました。

 

「エピ」というのは「エピソード」や「エピローグ」といった言葉の「エピ」と同じく、「上」とか「外側」を意味する接頭詞。本体そのものじゃなくて、後から追加された部分ってニュアンスですかね。ゲノムだけを見ても理解できない遺伝子のはたらきを、ゲノムを取り巻く周辺因子から読み解こうという研究分野を「エピジェネティクス(エピ+遺伝学)」、その因子をひっくるめて「エピ+ゲノム」と呼ぶんだそうです。エビゲノムという名前の何か特別なゲノムがある訳ではないのですね。

 

人間1人はおよそ37兆個の細胞でできていて、生殖細胞を除いた全ての細胞は核の中に同じ情報(=DNAの総体=ゲノム)を持っています。それらの細胞は日々生まれ変わっていますが、皮膚からある日突然足が生えてくることはありません。全部使えば人間を丸ごと作れる情報を持っている個々の細胞が、皮膚なら皮膚、筋肉なら筋肉、骨なら骨であり続けるためには、情報全体のどの部分を読み出すかという指示が必要で、それを司っているのがエピゲノムです。ゲノム自体の損傷が原因と言われてきた癌や、その他の生活習慣病にもエピゲノムの異常が関わっていることが近年分かってきました。耳慣れない割にはかなり身近で重要っぽいですよ。僕ももう少し勉強します。

 


最後は4号分をつなげた様子。小難しそうだから今年は作らずに取っておいたって方も、ぜひ4つまとめて作ってみてください。

 

ひっくり返すと生命誌マンダラの完成です。これにて大団円。