近くて遠いトカゲのなかま・その1 ニホンヤモリ


今回のモチーフは「ニホンヤモリ」。子供の頃おばあちゃんの家に行くと、便所や風呂場のガラス窓によくへばりついていたアイツです。日本ではあまり聞いたことはありませんが、東南アジアを旅行すると夜はヤモリの鳴き声で寝苦しいほどでした。その鳴き声が、ヤモリの学名であるGekkoの由来となったそうです。

 

さてこのヤモリ、垂直の窓ガラスの上をスイスイ歩けるのは、カエルのように指先に吸盤がついているからだと思っている人が多いのではないかと思います(そんなこと考えたこともなかった人はもっと多いと思います)。実はヤモリは吸盤を待たず、一見ひだのように見える指先を拡大すると、幾重にも枝分かれした細い細い毛がびっしりと生えています。毛の最先端についたヘラ状のタンパク質の直径はなんと200ナノメートル。計算上は、たった1ミリの幅に5000本の毛が収まってしまう細さです(ちなみにコロナウイルスの直径が約100ナノメートル)。このスケールになると、日常生活では意識することができない「分子間に働く力=ファンデルワールス力」が威力を発揮し、おかげでヤモリは壁や天井から落っこちることがないのだそうです。角度を少し変えるだけで自由に着脱でき、しかもなぜか隙間にゴミがたまることがないヤモリの足は、ナノテクノロジーやロボット工学の分野で注目を集めています・・・などということを考えながら、ぜひこのペーパークラフトを作ってヌルヌル動かしてみてください。