POP-UP生命誌展示・その3 自然の中で時間を紡ぐ生きものたち

今回のミッションは「奥羽山脈の隆起にともなって、数百万年をかけて山脈の左右に分岐したクロオサムシとメダカの東西の個体間の差異はゲノムの塩基配列の変異として現れていること、しかしその変異は必ずしも分岐の年代や形態上・生態上の違いの直接的な反映ではないことを、ポップアップを使って視覚的かつ直感的に表現せよ。」というものでした。ふう。あーでもないこーでもないのやりとりの結果、最終的には、カードを開くと徐々にせり出してくる奥羽山脈をはさむようにして、オサムシとメダカの塩基配列の書かれた矢印が北上するというしかけに落ち着きました。出来上がってみるとコレしかなかったように思うんだよなぁ毎回。なんで最初から思いつかないのかなぁ。

 

東に向かったメダカと西に向かったメダカでは、塩基配列に3%の違いがあるそうです。たった3%と思いがちですが、人間とチンパンジーの塩基配列の違いは1.5%しかありませんから、数字だけ見ると東西のメダカは別の動物と言ってもいいくらい。メダカの場合、その違いは体の形や性格に現れています。かと思えば、(正確な解析はされていないそうですが)やっぱり同じくらい違うであろうクロオサムシは、見た目や生態では東西の区別がまったくつきません。同じ様な道のりをたどった2種類の生きものにしてこの結果。ここでまた、『生きものって一筋縄じゃいかないよねえ』といういつもの感慨に立ち戻るわけです。すごいなー。生きものもすごいけどメダカの性格を知ってる学者さんがいるのものすごい。