共生モビール・その4 アブラムシの食草を変える共生菌

共生モビールもいよいよ最終回。ケースにはめ込んである糸巻きに毎回手作業で糸を巻き巻きしてくださった工場の皆さま、迷惑な企画に一年間つき合っていただき本当にありがとうございました。

 

今回は、アブラムシの体内に潜む共生細菌レジエラの垂直感染がモチーフです。細菌やウィルスの感染の様式には、同時代を過ごす個体間で感染する「水平感染」と、親子の間で世代を超えて感染する「垂直感染」があります。人間であればインフルエンザが「水平感染」でB型肝炎が主に「垂直感染」(例はともにウィルス)。細菌っていうと、どうにも良くないイメージがありますが、人間の体内を見ても、100兆個、1Kg以上もの腸内細菌が活躍してくれているおかげで健康な生活を送れていることは、以前のカードでも取り上げました。

 

ここでいう「水平」「垂直」ってのは、おそらく系統樹なんかを紙に描いた時に、横に並ぶのか縦に並ぶのかが語源になっているんじゃないかと思います。今回のモビールでは、この命名を文字通りに受け止めて、空間的にも垂直に垂れる糸を、垂直感染に見立てました。重さの違う3タイプのアブラムシを、レジエラを持つアブラムシの食草であるクローバーの3枚の葉にぶら下げてバランスを取るのに試行錯誤を繰り返したあげく、これは作る人にもよるわって結論に落ち着きましたが、やけっぱちでひねり出した重りがわりのテントウムシ(アブラムシの天敵)を乗っけて何とかバランス良くぶら下げてやってください。