2002年より生命誌研究館の館長を勤めてきた中村桂子先生がこの春退任され、細胞生物学者で歌人でもある永田和宏先生が新館長に就任されました。昨年1年間かけて区切りの100号と101号を特別編集でお届けした季刊生命誌も、館長交代に合わせて心機一転の102号をお送りできるよう進めていたのですが、このコロナ騒動でいろんなことがしっちゃかめっちゃかになってしまいました。中村先生が常々おっしゃっていた「生きものとしての人間」を、まさかこのタイミングで痛感することになるとは。
それでも何とか完成した102号ですが、梱包や発送にかかる人手を考慮して、現在は発送を控えています。Web版生命誌は5月1日に公開されていますので、愛読者の方はそちらをご覧ください。そして密かなお楽しみ紙のおまけも、今回は特例でWeb版の公開と同時にダウンロードサービスを始めました。今年のテーマは「しっぽの生命誌」。様々な機能を持つ「しっぽ」を使いこなす生き物を、毎号ちょっとした動きを仕込んでお届けします。
102号の第一弾は「カニクイザル」。足元の不安定な樹上生活でバランスを取る長いしっぽを引っぱると、手に持ったカニを口元に運ぶしかけです。実際には雑食性で決してカニが主食ではないとのことで、他にもココナツ、マングローブ、カキの3つのエサを付けました。ステイホームはもうしばらく続きそうですので、お時間のある時に作ってみてください。パソコンモニターの角にちょこんと乗っけて飾るのが僕は気にいっています。