共生モビール・その2 陸上植物を支える地下のつながり

65号に同封されたご感想ハガキによると、かなり評判が良かったらしい今年度のペーパーモビールシリーズ。ありがとうございますありがとうございます。おかげさまで勇気百倍、今回も前回にも増して「よりによって何故これを」感満点のモチーフでお届けします。

 

中央にそびえる木を取り巻く花と草原、一見おとぎ話の世界のようですが、地下に目を移すと、撮影用になるべく美しく作ろうとしてもどうしてもウネウネヨレヨレしてしまう糸にぶらさがった謎の円盤が・・・。実はこの円盤こそが今回のモチーフの主役、アーバスキュラー菌根菌なのです。最初は発音するたび咬みそうになっていましたが、いまじゃすっかりスラスラ言えるようになりましたよ。あーばすきゅらーきんこんきん。

 

この菌は、種を問わずほとんどの陸上植物と共生することができるため、例えば一つの森に生えている植物は、たとえ系統的に離れていても、アーバスキュラー菌根菌の菌糸を通して「根」どうしが繋がっているんだそうです。そしてその菌糸を通じて、ある植物の栄養分が他の植物に移ったり、ある植物が病気にかかると他の植物に抵抗ができたりと、まるで全体で一つの生きもののように振る舞うんだとのこと。最近よく「生物多様性」なんて言葉を耳にしますが、生物が他の生きものとの関係性の中ではじめて生きていけるってことが、菌糸っていう物理的な実体で繋がっているということを知って、よりリアルに感じることができました。なーんて真面目な感想書いてますが、他の生物と「友情」とか「ネット」とかじゃなく、「有線」で繋がってるイメージって、僕にとってはけっこう衝撃的でした。