めぐる生命誌・その4 食べることはめぐること

さてさて今年度のめぐるカードも最終回。今回は、成長に伴って食性が変わり、食物連鎖の中で占める地位が変化するアユの一生をご紹介します。僕は知らなかったんですが、アユって生まれてすぐに川の流れに流されて、海で成長するんですってね。沿岸部で動物プランクトンを食べて育った若アユは、春に川を遡り、岩についた苔を食べて大きくなります。つまり動物食から植物食へ、食物連鎖の中での地位が一段下がるわけです。もちろんこれは人間の目から見た勝手な分類で、アユはその時その時の環境に応じて、食べられるものを食べてるだけなんでしょうが、おもしろいのが、一生を淡水中で過ごす琵琶湖のアユ。幼い時も大人になってからも琵琶湖にいて、周りの環境は変わらないのに、その食性はやはり動物食から植物食へ変化するのだそうです。誰に言われたわけでもないのに、そういう体になってしまっているのです。不思議なことですよね。もう一つおもしろいのが、その食性の変化を科学者が知る方法です。潜って観察してるわけじゃなく、アユの体内に濃縮された窒素原子の同位体元素の質量比なんて使っちゃうんですよ。すっげー。科学的な手続きってのはやはり説得力が違います。この話はぜひカードでご覧下さい。